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しかし、
当のオニキスは笑顔で、
「だって、その方が“僕達の顔を覚えてた役人が居て、もし捕まったとしても、他の誰かが持ってる事で無実を証明できる。”よ」
「………………それって、お前がされた事じゃん」
「ちがうッ!!」
図星を指すカイの一言に
オニキスは、
やっぱり剥きになって否定した。
――――
王都フセル。南の大通り。
そこを良家の子息の格好をした
レベルは当てもなく歩いていた。
目的はあるのだが、その目的が
何処にあるのか判らない為に
こうして気の向くまま
出歩く事しかできないのだ。
「もー少し、こう、目印になるものがあれば良いのにね…」
“運命とは人が名付けた必然です。”
何気無く呟いた言葉に
出掛ける前に聞いた
漆黒の女性の声が蘇る。
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