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1608年
琉球・宮古島
蔵元
「薩摩が・・・琉球に攻め込む準備を整えたようです」
薩摩に立ち寄ったという明の商人から薩摩の琉球侵攻の話を聞いた蔵元の武士、志喜屋は松金に報告した。
松金:ついに、か・・・
志喜屋:我々も挙兵して首里に出向きましょう!
松金:うむ・・・
志喜屋:松金様!
松金:志喜屋よ、一昨年、武士が次々と呪い殺された事件はわかるか?
志喜屋:はぁ・・・あのチルメガの一件ですか?
松金:実はまだ、安寧を殺した下手人が捕まってはおらぬ
志喜屋:?
松金:今はその下手人を捕まえることが先決だ
志喜屋:そ、そんな!
松金:それに、一昨年、沢山もの武士が殺されておる。今、挙兵したところで、我々は戦力に足らぬ、ということだ
志喜屋:・・・
志喜屋はあまり納得がいかない様子だが、松金の冷静な判断に間違いはないと確信した。
「ま、松金様!!薩摩の船です!!」
蔵元の武士である稲嶺、仲井真の2人が血相変えて駆け込んできた。
その一報に志喜屋は目の色を変えた。
「おのれ!もう来たのか!」
志喜屋は刀を取ろうとした。
「やめんか!」
松金は志喜屋を一喝し、刀を取ろうとした手を戻させた。
「まずは薩摩の船を見に行こう」
志喜屋と松金は2人に案内され、漲水(はりみず)の港へ馬を飛ばした。
そこには薩摩藩島津家の家紋である「丸に十の字」の旗があった。
どうやら、船が座礁したようである。
船員が担ぎこまれるも、体力の消耗が激しいのか、息も絶え絶えだった。
「・・・疲弊しておる・・・」
中にはすでに息絶えた者もおり、顔に白い布が被せられていた。
松金:原因は何だ?
医者:日射病と食あたりだ。腐ったものしか口にしていないらしい
稲嶺:屈強な薩摩の武士が・・・ここまでも・・・
志喜屋:こんな、琉球の暑さに耐えられないひ弱な奴らが、琉球を攻めようとしておるのか・・・?
遅れてやってきた玄盛は凄惨な現場を見ながら、倒れて、看病されている船の乗組員を見て廻った。
一人だけやたら、小綺麗な格好をし、刀を帯刀している男がいた。どうやら、薩摩の武士のようだ。
「お主、名は何と申す?」
玄盛は武士に声をかけた。
「・・・う、あぁ・・・田口、田口兵右衛門(たぐち ひょうえもん)だ」
玄盛は体力の回復を待って兵右衛門から事を聞きだす事にした。
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