面倒くさい人たち

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ベトナム・ホーチミン市 ホーチミン港湾施設内 サンヨー・エイジアンポートサービス 日系企業であるサンヨー・エイジアンポートサービスの社屋を囲むように軍用トラックが止まり、中から泉珠璃菜(いずみ じゅりな)が降りてきた。 「Stand by...」 様子を見ると無線で指示を送り、社屋内にまだ人がいることや、周囲の状況を見て再び無線を入れた。 「Go!」 トラックの中から武装したベトナム陸軍の兵士がぞくぞくと降り、アサルトライフルを構えてドアに陣取った。 他にも窓の前などでフラッシュバングなどを準備し、異常がないことを確かめるとすぐに突入した。 「Go!Go!Go!Go!」 突入した陸軍の兵士らはすぐにその場にいた社員らの身柄を拘束した。社員は全員、日本人だった。 「な、何だ!?日本大使館に連絡するぞ!!」 「そんなことをやったって無駄です!!!」 珠璃菜も拳銃を構えて社屋に入り、社員を日本語で静止した。 「あなたがたの身柄は一時、日本の沖縄県警へ送致します。日本政府が閣議で破防法の適応を決定したのです」 その一言に観念して、取り押さえられた社員らは社屋から連れ出される。 ベトナム陸軍の警備の下、珠璃菜は社屋内にヨハン・リッター社の子会社―徳国騎士公社の社員らを入れた。 珠璃菜は徳国騎士公社のベトナム支社の社員であり、一時的にベトナム陸軍へ特尉として出向していた。 「イズミ特尉!これを!」 珠璃菜はベトナム陸軍の兵士から一枚の書類を手に取ると、そこにはベトナム語で「琉球独立計画」とあった。 さらに手元にはスポンサーとしてだろうか、地元の魔札使いのチームへの支援金の内訳があった。 「・・・すぐに日本に行く。場所は、沖縄!」
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