面倒くさい人たち

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―1週間前。 東京都港区芝浦 ヨハン・リッター社 「横浜でのイギリス艦艇事件の次は・・・魔札のチームか・・・」 神祇省の官僚たちはやれやれと面倒くさいような声が漏れる。この日、ヨハン・リッター社の日本本社では各支社のチームリーダーも参加しての会議が始まろうとしていた。 「会議を始めます・・・。まずは今回の事件の中心にあるのは、現在、東京でNo1の魔札使いとなっているアルファベットスリーです。この組織はこれまで"護国寺闘争"、"御徒町決戦"、"神宮抗争"などを引き起こしてきました」 東京都内の地図のポイントがつけられ、アルファベットスリーのこれまでの戦歴が出された。 「しかし、これは巨大な組織内での争いなんですが・・・さらに厄介なことが九段下全面戦争です。アルファベットスリー内だけでなくとうとう他のチームにもそれが波及したのです」 ほんの一瞬だけ、官僚らがざわめいたが、ヨハン・リッター社から現状の報告に来ていた魔札対策部隊の微藤遊技(びとう ゆうぎ)は続けた。 「これまで九段下では幾度となくアルファベットスリーによる抗争が繰り広げられてきましたが、今回は事情が違い、ついにアルファベットスリーが他の組織を襲いにかかったんです。そこで、我々はアルファベットスリーの徹底的な"封じ込め"を行う事にしました」 "封じ込め"とは検挙などで組織の規模を縮小させることを指す神祇省やヨハン・リッター社内での隠語であった。 「それで・・・どうやって"封じ込め"るんだ?相手は関東・・・いや、日本最大のグループだぞ?」 官僚の1人が声を荒げた。それに反応して魔札対策部隊の馬神覇王(うまがみ はお)が立ち上がった。
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