面倒くさい人たち

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「それですが、実はアルファベットスリーは今、ほぼ崩壊の危機にあるんです。というのも、エースの茶錬通果が組織を脱退することが発表されたのです」 その発表に再び官僚たちはざわめいたが、それ以上に現場に携わっているチームリーダーたちもざわめいた。 「さらに、このアルファベットスリーですが、トリプルショックの追撃のために沖縄に行く事になっています」 ―・・・え? 思わず裕紀は隣の清輝と顔を見合わせた。少し遠くにいる神祇省沖縄事務局の職員も唖然としているのも分かった。 「作戦としては、この茶錬通果の身柄を確保し、我々の監視下に置き、弱体化しているところを叩いていきます」 なるほど。そういう作戦か、とその場の全員が思ったが、魔札対策部隊の桐札負舞(きりふだ まけまい)の一言がややこしい方向に持っていったのだった。 「けどよぉ、ほかの魔札使いの連中の検挙も頼むぜ」 ―あぁ!? ヨハン・リッター社のチームリーダー達は面倒な仕事が増えた、と思ったが、神祇省の官僚たちは好意的に捉えているらしく目を丸くさせた。
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