面倒くさい人たち

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流一が珠璃菜と戦う1時間前。 沖縄県那覇市 ヨハンリッター那覇支社 「・・・取り逃がしたか・・・」 裕紀は流一と聡史の報告を聞いてため息をついた。 「まぁいい。今のところ、神祇省からは何もないし・・・それにこれは副目標だ。主目標であるアルファベットスリーを沖縄で叩くことにのみ専念してくれ」 今までビクビクしていた流一と聡史がホッとする顔を見て裕紀は複雑な心境になった。 ―・・・こっちもこんな指示は出したくないんだよ。申し訳ない・・・ 裕紀は心の中で2人に謝った。 「あぁ、そうだ。そういえば、新しく那覇チームに加わる社員がいるんだ。確か、今日、那覇に越してくる事になってる」 引き出しから一枚の辞令のコピーを取り出した。そこには2人には覚えのある顔―和美の写真があった。 「部屋を前島に借りたらしい。ここから近いし、気晴らしに手伝いに行ったらどうだ?」 裕紀の提案に乗ることにした2人は早速、和美が借りたアパートへ向かう。 川沿いにあるアパートでヨハン・リッター社から近い上に流一のアパートのすぐ隣だった。 ―ご近所さんかよ・・・ ため息をついているとジーンズにTシャツという普段ではなかなか見られないラフな格好の和美が現れた。 「ういー。手伝いに来たぞ」 「ありがとう。でも、大まかな家具は届いたし、片付いたから男手はそんなに必要ないかも」 和美はやんわりと断った。 和美:どうしてもっていうなら、これから郵便で5箱ぐらい荷物が来るはずだからそれを運んでもらえる? 流一:あ、あぁ・・・そうする 聡史:ま、まぁ・・・何もしないよりは・・・な? 和美:でも、届くのはあと1時間後ぐらいだから、とりあえずは買い物かな。車出せる? 聡史:お、おう。出せるぜ 流一:お、俺も行くぜ? 和美:・・・そんなに人数要らないし。とりあえず、荷物が来るのを待ってたら?部屋は403号室だから 流一:え?・・・ 流一だけが待たされることになり、近くで時間を潰そうとコンビニへ向かおうとした。 すると、そこには横浜で魔札使いによるバトル―闘札(とうさつ)の現場でよく見かけた顔である泉珠璃菜がそこにいた。
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