ガラスの城

20/26
前へ
/26ページ
次へ
少女と人魚がくつろいでいると、 いきなり少年が部屋に入ってきました。 「どうやってここまで来たの?」 「どうして追いかけてくるの?」と、 少女と人魚は口々に質問しました。 少女は不思議な事に、 急に幼い頃の事を思い出しました。 あの、とても仲良しだった、 とても優しかった少年の事を… 「そいつから離れろ。」と、少年は少女に言いました。 少年の手にはナイフが握られ、 人魚を睨んで、近づいてきます。 人魚は、あえて、逃げずに、 その身を差しだしました。 「食べたいなら食べていいよ。」 と言いながら、元の、 人魚の姿に戻りました。 そして、おとなしく、少年に、肉を切らせました。 少年は、すかさず食べました。 「けっこう美味しいじゃん。」 と言ったあと、気を失いました。 少女は『本当に食べさせちゃったの?』と、 人魚に尋ねました。 人魚は、 『うん。運が強ければ不老不死。 運がなければ、このまま眠って起きない。』
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加