ガラスの城

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どこからか、 シャリンシャリンと綺麗な音が奏でられていて、 よく観てみると、 天上から『鏡』の欠片が絶え間なく降りそそがれていました。 そしてすべての『鏡』の欠片に 少女の全てが映っていました。 少女の記憶に在るものも、無いものも。 どの欠片を観ても、ただ悲しくて、 少女は涙を流していました。 「全部、嘘。何もかも信じられない。」 泣きつかれた少女は、そのまま眠ってしまいました。 眠っている少女の額には、 七色の花が浮かび上がっていました。 少女は『夢見』でした。 夢の中で、いろいろな事を知ることができる。 たくさんの人達が、 少女を利用しようと、近付いてきました。 少女は逃げて逃げて、 この森にやっとたどり着きました。 ガラスの城は、 普通の人には存在すらわからない場所に在りました。 少女は夢を観ていました。 湖面に、自分と同じ、 銀色の髪で銀色の瞳の少年が姿を映していて、 じっとこちらを見つめていました。 少年は髪の長さこそ違え、 少女によく似ていました。 まるで双子のようでした。 記憶にはないけれど、 どこかで会った事があるような、 不思議な印象でした。 夢から覚めた少女は、 『鏡』の部屋から出ようと、 あちらこちら、よく観てみると、 『鏡』はどれも、繋がっていなくて、 どこからでも出られそうでした。 とりあえず一枚めくってみると、 『鏡』の裏側は『闇』でした。 無』でした。 「床もない。」 よく考えて、少女はまた、 『鏡』と『鏡』を合わせて再び 『合わせ鏡』の世界にはいりこみました。 今度は99枚まで数える事が出来て、 (あと1枚、いや、1枚でなくてもいいのだけれど・・・) と思ったところで、 また気を失ってしまいました。 少女は夢を観ていました。 今度は空から堕ちてゆく夢でした。 夢の中では翼があるにもかかわらず、 果てしなく堕ちてゆくだけ。 地上についたところで、目が覚めました。 少女は湖の縁の野原に横たわっていました。 みたことのない湖でした。
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