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少女の問いに人魚は
『飴玉』を取り出して、
「これをなめている間は大丈夫。
なるべくゆっくりなめてね。」
と、少女に渡しました。
ふたりは手を繋いで、湖に潜り、
人魚の家に行きました。
「ただいま。パパ。」と
何か青緑色の大きな者にむかって
「この子が亜莉紗だよ。
やっと会えたの。」
少女は
(あっ。お父さんなんだ。挨拶しないと・・・)
と思い、
よくみてみると、
大きな大きな、青緑色の龍でした。
「あっ。パパはね、この湖で龍神やってるの。」
と人魚。
「あと、私の名前は『紗莉亜』。
子供の頃に貴方に会うまで名前なかったんだけど、
会った後でパパに話したら、
亜莉紗の逆さをつけてくれたの。」
龍神は、とても綺麗で(ヒレとか鱗とかも)
少女はしばらく見とれてしましまいました。
そして
「龍神様。初めまして。
娘さんと廻(めぐ)りあえて光栄です。
どうぞよろしくお願いいたします。」
と挨拶をしました。
龍神は
「娘をよろしく頼みます。」
と言って、瞼を閉じてしまったので、
人魚に手を引かれるまま、
あちらこちらを案内してもらいました。
(ママは居ないのかな?)
と素朴な疑問が頭に浮かんだ時、人魚は、
『今は居ないの。
ママは人間だから。』
と応えました。
(思っただけで通じあえる。便利だけど。)
人魚は「聞かれたくないときは、
この貝殻のイアリング、この丸いのを耳に入れてね。」
と、少女にイアリングを渡しました。
『そろそろ帰る?』と人魚が尋ねると、
(何処に?)と少女。
『鏡の道を辿って行けばいいよね。』と、
湖の底の何かを磨き始めました。
大きな『鏡』でした。
人魚が呪文を唱えると、
ピカッとひかり、
まるで猫の瞳を覗いた時のように、
湖がキラキラひかり輝きました。
少女の目が眩んでいるうちに、
人魚は少女の手を繋いで、『鏡』に飛び込みました。
ふたりが辿り着いたのは、
少女が『合わせ鏡』をした部屋でした。
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