ガラスの城

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「夢を編むって、どうすればいいの?」 と少女が尋ねると、人魚は、 「ここに繭玉があるから、 これを糸にして、それからモチーフを編むの。 モチーフは編める?」 「少しなら…」 「先に糸を作ろうね。」 と、人魚は繭玉を茹でて乾燥させてから、 器用に糸を縒りました。 見よう見まねで、少女も糸を縒り、 大分、出来た時に、人魚が 「ひとつの繭に一匹のカイコが犠牲になっているの。 さっき茹でたから。」 「貴重な命だね。」と少女が涙を溢しました。 ある程度、糸がたまったところで、 綺麗に巻き取って、 人魚がモチーフを編みはじめました。 「同じのを編んでみて。」 と、少女に糸を渡し、 少女もモチーフを編みはじめました。 何枚か編んでいるうちに、 モチーフに夢を編み込む事が出来るようになりました。 キラキラした夢、和やかな夢、 少女も人魚も見たことのない海の夢など、 いろいろな夢を編みました。 悲しい夢も…糸を縒っては編み、 と、繰り返して半分ほど出来上がりました。
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