お見通し

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貴「そん時のお前面白かったでー。酔っ払って何言うとるかわからんかったし」 森「俺全く記憶に無いんすけど!」 貴「やろうな」 ライセンスの楽屋に遊びに来た森木。 先ほどまで静かだった楽屋も、森木が来たことによって騒がしくなる。 仲良く話す2人を見てみて、森木が羨ましい。 藤「(たぶん、いや、構って欲しいんやろな、俺)」 でもそんなことは相手に言う勇気も無く。 もし言ってしまえば井本のことだから、うっとうしいや、面倒くさいと思うだろう。 この女々しい性格を直さなければ。 藤「…ん?」 机の上に置いてあった携帯のランプが光った。 メールのようだ。 ただ、そのメールを見て驚いた。 相手はすぐそこにいる井本。 内容は、 お前さっきからこっちばっか見てきよって。 どうせ、またヤキモチ妬いたんやろ。 後でちゃんと構ったるから待っとき(笑) と、あった。 俺の心を全て読んでいた。 相手を見るとこちらに目線だけ向け、ふっと笑った。 藤「(何やねん、井本のくせに!!井本のくせに!!)」 嬉しかったでも、ムカついた。 だからメールの返信は、 誰がヤキモチ妬くかアホ。 お前自意識過剰過ぎるぞ。 ずっと森木と話ししょれ!! 思ってもないことを送ってみた。 藤「(…昔から井本って俺の心読むな)」 携帯のランプが光った。 井本からだ。 そうか。 俺の勘違いやったか。 ほな、森木とずっと話ししょるわ。 藤「(マジで!?え、嫌や、構ってや!!)」 先ほど送ったメールに後悔する。 ぱっ、と相手を見ると森木に何か耳打ちしていた。 森「わかりましたー。んじゃ、兄さんまた来ます。藤原さんもまた!!」 藤「え?あ、おん」 颯爽と楽屋を出て行った森木。 よく分からずにいると井本が俺の前に来た。 貴「藤原」 藤「…何、か?」 貴「正直に言うてみ?」 思わず下を向いてしまったからどんな顔をしているか分からない。 藤「…寂しかった」 貴「よく出来ました」 ポン、頭の上に手を置かれた。 その手が凄く優しかった。 貴「よし、ほな今日は俺ん家な」 藤「えー、またお前の家?」 貴「文句あるんなら来んでええで」 藤「文句あっても勝手に行くし」 貴「ほな勝手に来い」 この会話が嬉しくて嬉しくて。 藤「井本」 貴「んー?」 藤「…ありがとうな」 貴「…アホ」 -end- →アトガキ
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