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「見たかったな、桜」
「鈴倉君は今年は桜を見なかったの?」
「うん、見に来なかったんだ。久石さんと話してたら見逃したのを後悔してきたよ」
「そうですか。なら今度はあたしが桜がよく咲いた時に鈴倉君に教えます。一緒に見に行けば見逃すこともないでしょう」
「えっ?」
朋奈の自然なお誘いに准は驚く。
来年の春に自分達がどうなっているかわからないのに、今のこの場でそんな約束をしてくるなんて。
「……うん、ありがとう。桜がよく咲く頃に僕に教えてね」
そうして今だけは約束を交わすことにした。
顔が照れて気分が高揚としているのもわかっている。
准は食べ終わったおにぎりの包装紙をぐしゃっと潰していた。
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