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公園の名前は、『尾台堀川(おだいぼりがわ)公園』。
親水公園として都内では大きく有名で、この近辺に住む子供なら誰もが遊びに通った道でもある。
春になると桜並木になる道では屋台もでき、ちょうちんも連なって設置され、公園内の沢山のソメイヨシノを夜に見上げていた。
「あたしは屋台で必ずわたあめを買ってましたよ」
「僕はあんず飴だった。お互いに甘い物をよく欲しがってたんだね。あとやきそばとかたこやきっていまひとつ物足りないとか思ってたんだ。まあ値段の割に量が少ないとかさ」
「あたしは量はともかく味が薄くて、持ち帰ってソース足して食べました」
「あはは。僕もじゃがバターの芋がかたくて家で温めなおしたりしたな」
「くすっ、なぜか食べ物ばかりですね。小さいときは桜を見るより屋台ばかり見てたってことでしょうかね」
「そんなものだよね。今は桜を見たり、屋台で売ってるものも買えて花見って感じがするよ」
「まったくそうですね」
朋奈がまた顔を綻ばせて笑った。
こんな風に素敵な笑顔を見せる女子を見逃す男子はいないと思うのに、なんで今まで気づけなかったんだろう、と准は小首を傾げた。
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