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「今日は夜遅くに出歩くのか……」
准は外へ行く私服に着がえながら呟く。
財布、鍵、携帯と常時持っておくものをジャンパーのポケットに突っ込む。
支度をすませて、戸締まりの確認をして外へ出た。
春は日差しは暖かいが、それもない夜はまだ冷えた風が吹く。
准は外の暗さ、静けさ、なにより人の気配がない夜に不思議なものを感じた。
ちょっとした高揚感。車がよく通る狭い道も真ん中を歩いてみたりする。
朝にはここを歩けばいつも端に寄って歩かなければならないから。今だけできることだ。
「……ははは」
妙に楽しくなってきた。テンション高いまま、准はコンビニの神々しく栄える電光を見つける。
節電で看板のほとんどの電力は切った状態であっても、この深夜の時間だとコンビニぐらいの明るさは、とても眩しい印象があった。
「さて、運がよければ弁当を買いたいけど……っ!?」
コンビニの入り口に目が向かったとき、准の足が止まった。
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