17人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
さっきまで夜中にいたときにそんなことは思わなかったのに、全体のシルエットがわかるとその少女は幼い印象であった。
「僕のこと知ってるのにごめん。僕は久石さんのこと気づかなかった」
「……あたしは学校だと物静かに過ごしてるから」
朋奈は小指で頬をかいて困ったような顔をする。
「そうなんだ。僕も学校だと騒がしく過ごすほうじゃないからね。お互い目立たないと気づかないよ」
そう言ったところで、そんな准のことを朋奈は覚えていたことに気づく。
同じクラスメイトというだけで親しくしたことないのに、彼女から自分に声をかけてくれたことには嬉しかった。
さらに朋奈からまた意外な言葉で歩み寄られる。
「あの、よかったら少しでもお話に付き合ってくれませんか?あたし、夜はいつも暇してるんです」
准はどくん、と胸が弾んだのを感じた。
__高校生にもなったら楽しむ夜を過ごしたい。
准は同い年のクラスメイトの女子から、初めてそんな夜に誘われようとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!