-花園-

8/9
前へ
/186ページ
次へ
 幾つかの肥料を手渡され、祖母の後について肥料撒きを開始したのは、太陽が真上に存在する、一番厳しい時間帯だった。  暑さのせいもあるだろうが、きっと一番の理由は咽る程のこの花の香り。  何度も押し寄せる目まいを振り払い、馨は祖母の後に従って手伝い続ける。  いつもなら、もうやってられないと投げ出すのだが、離れたいと思う反面、離れたくないとも思う。  もうすぐ、届に行くよ――デリーラ  そう頭の中で声がする。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加