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「何か仰って?」
それが祖母の声でないことを知りながら、ここには二人しかいないのだから、自分の声でなければ誰のだろう。
とりあえず訊いてみたものの、祖母から返ってきた言葉は、予想通りだった。
「何も言っていませんよ、デリーラ」
しかし、今馨をデリーラと呼ぶのは祖母だけで、昔を入れても極わずか。
昔の者が、今日本にいるという事は考えられないし――では、誰の声だろうか。
グルリと意識が回転しだし、そのまま意識が遠のく。
遠くなりながら祖母の悲鳴を聞き、馨はほんの少しだけ後悔をした。
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