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祖母はロシア貴族の末裔、祖父は日本貴族の血縁。
ふたりは大恋愛の末、祖母が家を捨てる形で愛が実ったらしい。
絶縁覚悟で飛び出したロシアから唯一持ち出せたのが、この裏庭一面に咲く薔薇の花。
品種はレイラ1種類のみ。
祖母の名前と同じ薔薇の花であった。
オレンジ色の鮮やかな色合いが、太陽の光を浴びて一層鮮やかさを増している。
蕾から開花しはじめた花々で、見ごたえは充分ある。
たった1本の苗から、ここまで増やすのには、並大抵のものではなかっただろう。
馨ははじめて目にしたその裏庭を目の当たりにして、立ち尽くした。
「家は息子が継いでも、この裏庭を継ぐのは、あなたですよデリーラ。ここに、今度はデリーラが加わります」
立ち尽くして役に立たない馨をよそに、祖母はテキパキと下準備を整えながら話し出す。
「デリーラの花はたしか、青味がかった花でしたね。まるで、昼と夜を象徴しているよう。ですからかしら、どうもあなたとは意見が合いそうにないのは」
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