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そんなぼくの表情を見て、彼女はいたずらっぽく笑って言った。
「そんな困った顔しないでください。ごめんなさい、実はこれ私のものなの」
「え?」
「ねえ、どんな絵描いてるの?見てもいい?」
急な話の流れに理解が追い付かず、彼女に言われるがままにスケッチブックを手渡した。
ありがとう、と言って受け取った彼女はまじまじとぼくの絵を眺め始めた。
他人に自分の絵を観賞されるのはずいぶんと久しぶりだ。
彼女の反応を待っている間、自分の描いた絵がまともに見えるのかどうか不安になった。
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