プロローグ

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「でもね……」 「でも、なに?」 地面に落ちていた桜の花びらを手に取り、彼女は言った。 「まるで花みたいに短い命だったら、どうなるんだろうって……。そういう人はきっとあっという間に忘れられちゃうんだろうね」 そう言った彼女はどこか寂しげな表情をしているように思えた。 誰のことを言いたいのか、何のことかはさっぱりわからなかった。 でも、切ない思いをする彼女は見たくなくて…… 「大丈夫だよ」 何も考えず、とっさにそう口に出た。 「花は綺麗だから。そんな人生なら、きっと誰も忘れないよ」
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