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初めて出逢ったのは、まだぼくたちが大学に入学して間もないころにまで遡る。
それはまだわずかに肌寒さが残る春先のことだった。
キャンパスから歩いて10分ほどの河川敷。
そこでぼくはスケッチブックを手に、生えたばかりの若草の上に座り、風景画を描いていた。
ただ目の前の風景だけをじっと見つめ、それと同じ風景をスケッチブックにもう一つ、自分の手で描き、作っていく。
その他一切のものを遮断した、自分一人だけの世界にいるように感じる。
その感覚が大好きで、ぼくは絵を描いていたのだ。
その日も一人だけの空間を味わっていたぼくだったが、唯一、ただ一人の女の子がそこに足を踏み入れた。
それが稚春だ。
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