終戦

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 リルカ王女が素直に腰を下ろしたので、手早く湯を沸騰させ、紅茶用の葉をいくつかブレンドして作ったオリジナル紅茶を煎れる。  リルカ王女の正面に座して、その熱く湯気が出ている紅茶を置く。 「本当に気を使わなくてよろしいのに…」  少し膨れっ面をしていたが、紅茶を一口飲むと、分かりやすいくらいに笑顔がこぼれた。  リルカ王女は、戦闘能力こそ異常であったが、見た目通りの可憐さに似合う甘党なのだ。この紅茶も以前飲みたいと言っていたリルカ王女のために、甘味をふんだんなく生かすために作った紅茶なのだ。 「如何でしょうか、リルカ王女殿下?」 「美味しいわ。ですが、その王女殿下は止めてくださらない?私は、マリモよりも年下ですし、今の私は王女ではないのですよ?」  王女も人間だ。息抜きが必要だろう。僕は、リルカ王女に頭が上がらないほどの恩がある。  だからこそ王女のためならば、何でもしよう。そのためには、明日の闘技大会で予選を突破せねばならない。  闘技大会の予定は、一日目が予選、二日目が116人によるトーナメントで、三日目に準決勝から交流戦までが行われる。シード権を持つ者は、二日目の第三、第四試合からしか参加しない。つまり、予選で戦わない分、体力を温存できるのだ。  今だかつて予選から勝ち上がり優勝した者はいない。  だが、目の前で楽しそうに喋るリルカ王女を見ていると、不思議とできる気がした。
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