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それは国を担う軍人としては仕方がない。カルマン将軍を恨むつもりも非難する気持ちもない。
ただ、僕が納得できなかった。僕よりも優秀で、戦争に貢献した者は数えきれないほどいた。それに死んでいった仲間たちは、死に兵として先陣をきらされた時も、囮として使われた時も、国のため、守る者のため儚くその命を散らしたのだ。
国を恨むこともなく、ただ笑って僕に、生きろよって言ってくれた奴もいた。
そんな奴こそが英雄と呼ばれるに値する奴なんじゃないのか。
自信がないせいか、僕は延々とそんなことを考えていた。
「………そうだっ!!」
不意に僕は名案を思いついた。
「自信がないなら、自信がつくように闘技大会で優勝できれば…」
闘技大会とは、この国で古来よりなされている剣術や魔術を競い合う闘いである。上位にランクインすれば、軍や傭兵、ギルドなどで優待される。
今回は、戦争が終わったということもあり、いつも以上に盛大に行われるということだ。
つまり、それに参加して優勝しようという腹である。
国民も英雄が、その大会で優勝できれば活気づくに違いないし、英雄であることに納得することだろう。
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