終戦

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 だが、当然ながら問題もある。英雄として、僕の顔が国民に知られていることだ。  英雄扱いされたくはないし、えこ贔屓などされるのは以っての外である。  王女やカルマン将軍が知れば、シードくらいには押し込むだろうし、もしかすると八百長もありうる。  上位にランクインするのは、ほとんどが軍人なのだ。国の不利益になることをするはずがない。 「だったら変装するしかない」  そう呟くと、僕は何か顔を隠せるものはないかと部屋中を捜しはじめた。 「仮面、兜、ローブに甲冑か…、取り敢えず身につけると闘いにくそうだ」  戦争ではないのだ。純粋に剣術を競い合う闘いなのだから、動きが鈍る重い装備は得策じゃない。  もちろん殺しあうわけじゃない。剣だって刃引きしてある物しか使わない。  だが、変なプライドが僕に囁きかける。英雄として扱われたくない。一般人として参加して、優勝するからこそ意味があるのだ。  仮面はどうしても視野が狭くなるので除外して、黒い兜と黒いローブ、その下に甲冑を着込むという、まるで重歩兵のような恰好になった。  だが、仕方がない。この装備ならば、軍でも身につけたことがないものだからばれることはないだろう。
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