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闘技大会は、明日から始まり三日後の交流戦をもって終了となる。交流戦とは、剣術と魔術の優勝者が闘うことである。
残念なことに遠距離と近距離では勝負が手早く終わることが多い。最上級魔術を避けられるようなフィールドはないし、剣術の方は魔術を使ってはいけないのだ。だからこそ歴代交流戦の勝者は、基本的に魔術の方である。
第100回目を記念するこの大会で勝てれば、僕は英雄になれる。そう思うことにした。
登録は当日の朝までできたはずだ。まだ数日しか経っていないが、勘を忘れないためにも今日は剣を振ろう。
重たい甲冑や兜をつけて、僕は剣を握りしめて外に出た。
人目につかないように近くにある森の中に入り、実戦形式を意識した対架空相手とのエア戦闘は始まったのであった。
エリオットはかつて僕に言った。
『我等を撃ち破ることはできても、人の心から邪神を消し去ることはできん。たとえ我を倒そうとも、必ず貴様らは平和にはなれまい。それこそ無限に現れることだろう。貴様らの敵がな』
僕に胸を剣で突き刺された時に言った言葉だ。なぜ今思い出したのかは解らない。けれど、何か嫌な胸騒ぎがした。
しかし、そんな不安を切り払おうと僕は無心で剣を降り続けた。
不意に周りに殺気が集まる。
周りに目を向けると、僕よりも質の良さそうな銀色の鎧を身に纏う集団が僕を囲んでいた。
どうやら穏便にすみそうな雰囲気ではない。
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