32人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は、君を愛していた。君だけを愛していた。
だから、これは仕方がなかった。
君を僕だけのものにしておくために。僕が、君と一緒にいるために。君をずっと愛し続けるために。
君が、僕がどこかへ行ってしまうのではないか、という不安と恐怖を感じないで済むように。君が、嫌われたくないと僕に哀願しなくて済むように。
仕方がなかった。
だって、僕はこうするしか他に知らなかった。僕は、大人という名の子供だったから。
閉じられた君の瞳を見つめていると、僕は誰かが言っていた言葉を急に思い出した。
その人は言っていた。
ただ一人を愛するということは、心の病んだ者にしか出来ないのだと。
でも、それでもいいと思った。
君だけをずっと愛せるなら、病んでいてもよかった。狂っていてもよかった。
例え僕がそんな風になっても、君なら僕を変わらず愛し続けてくれただろうから。
最初のコメントを投稿しよう!