狂愛 -キョウアイ-

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 僕は、君を愛していた。君だけを愛していた。  だから、これは仕方がなかった。  君を僕だけのものにしておくために。僕が、君と一緒にいるために。君をずっと愛し続けるために。  君が、僕がどこかへ行ってしまうのではないか、という不安と恐怖を感じないで済むように。君が、嫌われたくないと僕に哀願しなくて済むように。  仕方がなかった。  だって、僕はこうするしか他に知らなかった。僕は、大人という名の子供だったから。  閉じられた君の瞳を見つめていると、僕は誰かが言っていた言葉を急に思い出した。  その人は言っていた。  ただ一人を愛するということは、心の病んだ者にしか出来ないのだと。  でも、それでもいいと思った。  君だけをずっと愛せるなら、病んでいてもよかった。狂っていてもよかった。  例え僕がそんな風になっても、君なら僕を変わらず愛し続けてくれただろうから。
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