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第2章~迫る魔の手と救いの手~
レイドとセレスは、王国軍の兵士たちによって整備された街道を歩っていた。
「ごめんなさい、レイド...」
沈黙を破るかのようにセレスは言った。
「...君は一体何者なんだ?アイツらは一体何なんだよ?」
「アタシのことは...今は、言えない...。あの兵士たちは、《黒獅子の軍団》と呼ばれる者たち。キミとアタシを狙ってきたの。」
俯き、セレスは答えた。
「何で、オレを?」
「....。」
セレスは黙り、答えなかった。
「まぁ、いいか!それより、ヘルデナンドまでどれくらいかかるんだろ?」
暗い空気を吹き飛ばすかのように、レイドが話しを切り替えた。
「途中にある、休憩所の少し行ったところにあるはずよ。ハディさんって、どんな人なんだろうね?」
セレスも少し明るくなったようだった。
「オレも会うのは初めてなんだ。じいちゃんから聞いた話しだと、魔術学者らしいんだ。」
「魔術かぁ...。アタシも一応魔術みたいなのは使えるんだけどね。それ、見てみたいかも!」
眼を輝かせてセレスが言った。
「セレスはどんな術が使えるんだ?」
「アタシのは、魔光術っていうんだけど...。実際に見てもらえば早いかな。」
すると、草むらからガイストが飛び出してきた。飛び出してきたガイストは、タカのように鋭いツメをもった《ガーライル》だった。
セレスを見ると、周囲に魔法陣が足元に表れていた。そして、魔力の高まりを感じる!
「くらいなさい!フレアショット!!」
「ピギャャャャャャ!!」
小さな炎が、ガーライルを包み込み、焼き尽くした。
「こんな感じなんだけどネ。これを扱うには、潜在能力が関係してくるの。アタシの場合、光の三元素、つまり《火》、《水》、《風》の術と、治癒系の術が使えるわ。」
「じゃあ、オレにも使えたりするのか?」
「アタシは小さいときから勉強してるから出来るの。レイドにはムリムリ~♪」
セレスはからかうように言った。
「なんだよ~、オレにだって出来るさ!」
「やれるものならやってみなさい♪」
二人は楽しく会話しながら、ヘルデナンドへ向かった。
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