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セレクトショップに入り、まずエスカレーターで二階の香水売場へと足を進めた。 平日なだけあって人が少なく、居たのは男の客1人だけ 少し距離をとって横に立ちよさそうな香水のテスターを探す (あ、これいい匂い~フンフン) 「うっ………」 突然隣からうめき声が聞こえ、ふと手を止め隣を見ると さっきからいる男性客が口元を押さえてうずくまった。 深くキャップを被りグラサンまで付けている彼の表情までは分からないけど顔が真っ青だ 「ちょ…大丈夫ですか?」 「…………っ」 これはやばそうだと理伊は辺りを見回したが生憎店員さんが見付からない その時、ふとトイレが目に入りゆっくりとその男性を立たせ手を引き支えながら連れて行った。 男子トイレだったが誰もいないようでやむをえず理伊は男性をトイレの個室へ押し込み急いで出る。 そして水を買ってまた辺りを窺いながら男子トイレへ 店員を呼ぶことも考えたが、大事にしていいか分からず暫く様子を見ようと考えた。 「大丈夫ですか?あの…これ水です」 個室に向かって声をかけると、初めて返事が返ってきた 「すんません…香水で気持ち悪くなって…」 しゃがみ込んでる彼は頭を抱えたまま水を受け取りゴクゴクと飲んだ。 「はぁっ…だいぶよくなりました」 「それはよかったです…もう香水は止めた方がいいですよ?」 「いや、俺はもともと興味ないんだけど妹が誕生日プレゼントでねだってきて仕方なく…」 「妹さん…よかったら選びましょーか?また気分悪くなったら困るし」 「えっほんとに?いいの?」 何だかほっとけなくて理伊が申し出ると、彼は嬉しそうに立ち上がった。
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