39人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ~~~暑っつ~~~」
俺はその日、真夏のうだるような暑さの中、自分のお気に入りの場所でグダーっとしていた。
小高い丘の頂上にある、名も知らない一本の大樹。
その大樹の枝の下にある、古いベンチ。
そこが俺のこの街一番のお気に入りの場所。
「あ~太陽働きすぎだよ、有給とれ有給~」
手をうちわの代用品にしてパタパタと扇ぎながら雲一つない晴天に愚痴をこぼす。
俺が生まれ今現在も住んでいる楼夢市(ろうむし)は、元々の平均気温が高い上に、急速な近代化によって土が減り、コンクリートの割合が増すことによってさらに平均気温が上昇した。
故にこの街は夏になると、至る所で陽炎が見えたりする。
まっ、今はその夏なんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!