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大樹の作ってくれた木陰の下で、ベンチに横たわりながら時折吹く風に身を委ねる。
流れるように噴き出していた汗が嘘のように止まっていく。
あ~涼しい・・・・・・。
「ていうかやっぱり一人は寂しいなぁ・・・・・・」
やばいなんか悲しくなってきた。
「・・・・・・彼女、欲しいなぁ~綺麗で可愛くて優しい年上の彼女・・・・・・ま、そんな人いる訳ないか」
いても俺なんかには目も触れないだろうし。
「・・・・・・でも、夏休みの間だけでいいから、彼女できないかな・・・」
無我夢中と言うべきか、無意識的にと言うべきか、いずれにせよその時の俺はそんなことを心の中から呟いた。
心を込めて呟いた。
そう呟いた後、今まで吹いていた心地いい風が止まっていることに気がついた。
再び感じる夏の暑さ。
じんわりと出てくる汗に不快感を感じていると誰かの足音が聞こえた。
そしてその誰かは、不意にベンチの背もたれ側から顔を出して俺を見下ろした。
「わ!」
「うぉ!」
その誰か、は・・・・・・とても綺麗な女性だった。
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