21

7/9
前へ
/243ページ
次へ
「流ぅ水ぃーーーっ!!!」 私は絶叫した。 私の声を聞き付けた久世先輩が、走ってきた勢いをそのままに川に飛び込む。 「先輩! 流水を助けて! 流水はっ、泳げないの!!」 お願い、お願い、お願い! 流水を助けてお願いだからっ! 泣き叫びながら、2人を追って川辺を走る。 やがて久世先輩は流水を捕まえ、岸に向かって泳ぎ始めた。 岩に掴まり、水流に逆らって腕の力だけで流水を岸に引き寄せる。 私は、流水の腕を掴んだ。 久世先輩が流水を押し上げようとした時――。 「先輩危ないっ!」 水音に掻き消されてしまった声。 流木が、久世先輩を直撃した。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

241人が本棚に入れています
本棚に追加