第一章 呼び出し

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その子と目が会った気がして俺はぎくりとした。 「……今更いないことになんてできないよな?」 椅子の上で身を屈めながら春樹に問う。 「無理だよ。俺、いるって言っちゃったし。チャイムの後、先生と入れ違いで速攻来て呼んでくれって頼んできたんだから。」 「………。」 「何?知り合い?同中とか?」 「…全然。だって出身校同じやついねぇし。」 「…ふぅん?じゃあとりあえず行ってきたら?昼休み短いんだし。」 いつの間にか昼食のパンを頬張り始めた春樹が急かす。 逃げられない…か。 覚悟を決めて席を立つ。 「…じゃあちょっと行ってくるわ。」 ん、としゃべれない代わりに春樹は片手を上げて了解の合図をした。
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