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父からの衝撃の告白に頭が混乱する廉。
「じゃ、じゃあ今まで帰ってこなかったのも……」
「あぁ。『マザーグース』関連の事だ。
……詳しくは言えないがな。お前にも危険が及ぶ」
「……親父……そんなヤバい仕事してたのかよ?
何で……何で今まで言ってくれなかったんだよ、家族じゃねえか……」
「本当にすまない。
でも、お前にだけは危険な目にあわせたくなかった……」
「…………」
「……ここからが本題だ。
廉。これを」
廉が手渡されたのは液体が入った注射器と静脈を浮かべる為であろうゴムチューブ。
「これは?」
「いいか廉。落ちついて聞いてくれ。
これから東京に5年前のワシントンと同じ事が起こる」
「………………は?」
「東京に、MGMCが居るんだ」
「……『ワシントン聖戦』の時のか」
「そうだ。
そして廉。お前は細胞適合者だ」
「…………もう色々あり過ぎだろ……訳わかんねぇ……」
「廉。今渡したそれは簡単に言うとお前の体の細胞をこじ開けてもう一つの細胞を迎えいれる準備をする薬だ。安心してくれ。副作用などは全く無い」
「俺にMGCになれと?
ハッ、ふざけんな……」
「もちろん今使えと言ってる訳じゃないさ。むしろ使わないで欲しい。
でも、万が一お前に危険が迫った時には使ってくれ。
使い方説明するぞ。
それを静脈に注射した後、取り込みたい細胞を持つもの、肉や骨を、まぁ口に入れて飲み込んじまえ」
「すると、晴れて俺はMGCになるのね、何か簡単だな」
「………少しでもお前と話せて良かった。
ちゃんと学校行けよ、廉」
健太が踵を返し歩き出す。
「あ、嘘だろ?!何処行くんだよ親父!!」
「……生きててくれ」
「おや……うわ?!」
廉の前に黒い羽が舞い散る。
顔をあげるとそこにはもう誰もいなかった。
「親父……」
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