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「おぉお……広いな……」
「う、うん。
ここまでとは聞いてなかったよ……」
東京博物館の中は、ティラノサウルスの全身骨格の他にも当時の世界の模型や「ワシントン聖戦」の文献や写真を平気でおけるスペースがある。
また、夜の訪問とだけあって人が余りいないので余計に広く感じた。
「じゃあまわろっか?何から見たい?」
香穂が廉に尋ねる。
「……『ワシントン聖戦』の写真、見てもいいかな?」
「石神君、聖戦に興味ある人だったんだ。いいよ、じゃあ行こっ」
二人は「ワシントン聖戦」の展示してある二階へと向かった。
「……よくこんなの写真撮れたよね……」
「ごめん。気分悪くなったな」
二人が二階に来てまず目にしたのはMGMが人間を襲っているおぞましい写真。
MGMは、蛇の様な顔をした所々人間の特徴を残している様なもので、それが逃げる人間に牙を突き立てていた。
「怖い……」
「もっと怖いのは、これを人間が生み出した事だよ……」
廉は半泣きになっている香穂を自分の体に引き寄せながら、朝再会した父、健太の事を思い出していた。
(親父…………これがあんたが5年間、いや10年間を費やして造ったものかよ?)
「……ごめん。もう下に行こうか?」
「う、うん……」
二人はまた一階へと向かった。
運命の時まで、あと45分……
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