覚醒

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「すっげぇぇぇ…………」 「ほ、本物なんだよね……」 ティラノサウルス。略称、T-REX。 中生代白亜紀に史上最大級の肉食竜として君臨した竜の王。 その全身骨格が今二人の目の前にある。壮観だった。 「いや、生で見るとマジですげぇな」 「こんなのが地球にいたんだね……」 二人は暫くの間、ティラノサウルスに見入る。 「堤」 「ありがとうな、誘ってくれて」 「……お礼を言うのは私の方だよ。 助けてくれて、私すごく嬉しかった。 石神君」 「ん?」 「こっち向いて」 運命の時まで、あと5秒…… 「な、なに?」 4秒…… 「私、私ね……」 3秒…… 「ずっと前から」 2秒…… 「石神君が……」 1秒…… 「好……」 ドォォォォン!!! 「!! きゃあぁ!!!」 「な、何だ?!」 映写室の隣、一階の階段近くの壁に穴が空いている。 その横に立つ人。いや、 人の形をしているだけだ。 顔は狼。スーツ姿の袖から覗くのは長大な鎌。 その人外の姿は正に異形。 何処かで誰かが叫んだ。この言葉が混乱の幕開けとなる。 「MGMだぁあぁあ!!!」 狂った運命が始まった。
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