覚醒

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「嘘だろ?! 何でMGMが?!?! ま、まさか……」 脳裏に蘇る今朝の父との会話。 (どうする!このままだと死ぬ!) もう一つ思い出されるもの。それは二階で見たMGMに襲われた人間の写真。 「石神君!!!どうしよう!!!」 香穂の悲鳴で我に返る廉。 「と、取り敢えず逃げよう!! こっちだ!」 香穂の手を引いて逃げる廉。 「オォォォォン…………」 長く尾を引く遠吠えをあげるMGM。やはり狼の様だ。 ドンッ! 地面を蹴り、MGMが動いた。恐ろしい速さだで距離を詰めたその先にいたのは一人の女性。 「ひっ!」 動けずにいる女性にMGMは鎌を振りかぶり、横に斬りつけた。 一瞬遅れて、女性の胴体が切断され、地面に落ちた。 「いやあぁあああ!!!」 香穂が悲鳴をあげる。 しかし、この悲鳴が命取りになってしまう。 MGMが廉達の存在に気づいたのだ。 「ヤバい!逃げろ!!」 香穂を突き飛ばし前に出る廉。 「石神君!」 「早く行け!!」 その間にもMGMは距離を詰めてくる。 (MGMっっても、人間と弱点は変わんねぇだろ?!) 勢いよく詰めてきたMGMの鳩尾に蹴りを叩き込む。 (?! 嘘だろ?!かてぇ!!) MGMはそのまま走る勢いを止めない。 吹き飛ばされ、地面に転がった廉。 「がぁ……」 背中から叩きつけられ息がつまる。 「くそっ…… ?!」 顔をあげると、MGMが目の前で鎌を振りかぶっていた。 (…………親父…………) そして鎌が振り下ろされた。
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