覚醒

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(あれ……?) 恐る恐る目を開けると…… そこには廉を庇って斬りつけられた香穂がいた。 「堤ぃ!!」 香穂は何か言いたそうに口を開閉させ、 「石神……君…… 好きだよ……」 血を吐いて床に崩れ落ちた。 「あぁああああああぁああ!!!」 それを一部始終見ていた館内の職員であろうスーツを着た男性が叫び声をあげた。 MGMは叫び声に反応したのか、廉に踵を返し彼に走り寄った。 「ハァッ!ハァッ! 嫌だ!堤!!」 廉の声にピクリとも反応しない香穂。 傷は浅いから死にはしていないだろうが、失血からくるショックで気絶している。放っておけば命が危ない。 (俺は!俺はどうすれば!! !!) 思い出した様に鞄に駆け寄る廉。 「親父……使わせてもらうぜ……」 廉は鞄からゴムチューブを取り出し、腕に巻きつけた。廉の腕に静脈が浮かぶ。 そしてもう一つ、注射器を取り出し中の液体を静脈に注射した。 ドクン…… 「う……あっ……」 廉の中の細胞が激しく活性化されてゆき、すぐに熱に浮かされた様な気分になった。 (後は……取り込みたい細胞を…… でもあいつを倒せる細胞って何だよ? !!) 廉は目を見開くとニヤリと口の端を歪ませた。 (ここにいるじゃねぇか…… 俺らが生まれるずっと前から……地球で最強張ってた奴が!!) 廉はフラフラと立ち上がると 壁に立てかけてあった消化器を振りかぶり、ある物に叩きつけた。
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