暴力

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暴力

ここはMGCについての事件を請け負う会社、「ワイズマン」。東京がMGCと共存するという名目を掲げられているのも実質この会社があるからだ。 「失礼します! フルバック社長!」 慌てた様子で社長室に入ってきた社員。 「なんだ。騒々しい」 フルバックと呼ばれた男が立ち上がる。 身長が高い。190cm以上はある。短髪で金髪碧眼、強面で肩幅も広い。見るからに屈強そうだ。 フルバック フォワード。僅か23才にして「ワイズマン」社長。 そして「ワシントン聖戦」の前線で戦った英雄。流暢に日本語を喋るのも5年間日本にいたからだ。 「すいません!ですがすぐにお伝えしたい事が!」 「いいから落ち着け。なんだ」 「先程、東京博物館から連絡が入りました」 「MGCか。別に騒ぎ立てる程の事でもあるまい」 「違うんです! 暴れているのは、MGMなんです!」 「なんだと?!」 フルバックが目を見開く。当然だ。MGMがいるという事は「マザーグース」が無くなった今あり得ない。 一つ理由があるとすれば MGMCがいる時だけだ。 「現場に処理班は?」 「もう出動しました」 「よし。車を出せ、俺も向かう!」 「はい!」 フルバックは社長室を出て、急ぎ足で廊下を歩いた。 所変わって東京博物館、先程MGMが侵入した穴に人影があった。 「……姉貴か?」 『なんだカイル。どうかしたのか?』 「予定通り駒は侵入させた。でも、ちょっと予定が狂った」 『? 何があった?』 「……ははっ、 ティラノサウルスが出てきやがったんだよ」 『は?』 「まぁいいや、なるようになるよな。 詳しくは帰ってから説明するな」 カイルは電話をしまうとフードをかぶった。 「お前とは一度戦ってみたいよ、T-REX君」 楽しそうに笑ったカイルは踵を返して夜の闇に消えていった。
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