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廉は暗闇にいた。
周りは何も見えずただ暗く、冷たい。
「ふぅー、ふぅー」
耳に入る音は、自分の息づかいだけだ。
しゃがみ込む廉の頭を撫でる懐かしい感触。
「親父?!」
顔をあげると懐かしい顔が。思わず泣きそうになる廉。
しかし父は、次の瞬間血まみれになっていた。
「?!親父っ!!」
そして父の体はどんどん痩せ細ってゆく。
「れ……ん……」
「うわあぁあ嫌だ!!!親父っ!!!」
「……やじ!親父っ!!……っ?」
気づくと空を掴んでいる手。見慣れた部屋。
「……夢……」
時刻を見ると9時をまわっていた。
「ちっ、遅刻かよ……」
廉は諦めた様に制服を掴んで汗まみれの体を流す為、風呂場に向かっていった。
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