第1章

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「あなたは神を信じますか?」  科学の進んだ現代では今や教会でさえ聞くことがないかもしれない。 夢にさえ神様が出てくるというのはほとんどないだろう。 そんな世間話にもならないようなことであるが、 もし俺がその問いに答えるとするのなら、 「そんなもの信じない」  俺はたとえ言わないと殺されるといった状況でもそう答えるだろう。 まあ、そんな状況はないだろうが……。 神様どころか、天使や悪魔、そう言った夢みたいことを言う奴が俺は嫌いだ。 不幸な状況に陥り神に頼ろうとしている奴を見ると嫌気がする。  そもそも俺がこんなにオカルトが嫌いな原因は三年前に死んだ父さんのせいなのである。 まったく、死んでも迷惑な話だと思う。  夢のせいで父さんのことまで思い出してしまった。なんて不愉快な夢だったのだろう。 だいぶ記憶が薄れてきたのだがそれでも大した耐久力だ。夢を耐久力と表現するのはどうなのだろうかと思うが……。
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