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遥「鋳造!?お前、勝手に炉を使ってバレなかったのか?てかいつの間にそんなことしてたんだ?」
太一郎「夜中にチョロっと忍び込んでね。いや~流石に電気をつけたらマズイなと思って真っ暗な中で鋳造したのは大変だった。熱かったし。」
太一郎がやりきった男の様な顔で言う。
遥「使い方終わった鋳造炉はちゃんと片付けてきたのか?」
太一郎「それも心配無用!元通りあった状態にしてきたから。それにもう、鋳造炉は使わないし。」
遥「そうか、もう一年の鋳造実習は終わったのか。」
学校名「名富工業高校」は少子化の影響で現在、生徒の募集を停止しており、今の一年生が卒業すると廃校の予定になっている。
太一郎「そっ、だからもう鋳造炉は使わないで鋳造場は物置にに使うんだってさ。」
遥「ふーん。まあ鍵の話はこれくらいにしておいて、あいつらは来ないのか?」
そう、実はこの二人にはあと二人の親友がいる。
太一郎「ああ、二人とも今日は来れないってさ。」
太一郎が答える。
遥「へえ、あいつらにも用事があったのか。」
遥が軽く馬鹿にしているように言った。
太一郎「遥はさりげなく酷いことを平気で言うな・・・。祐希は今日、臨時列車が走るとやらで即帰ったわ。拓は野球見に行った。」
遥「ふーん。祐希と拓の趣味のハマり具合は半端じゃないな。」
遥が言ったのとほぼ同時に下校完了のチャイムが鳴る。
太一郎「おっ、もうこんな時間か。意外と時間つぶれてたんだな。」
遥「そうだな。じゃあ太一郎、そろそろ帰るとしますか。」
散らかった荷物を片付け、教室を出て鍵をしめる。
太一郎「鍵はここに隠しておくから。」
太一郎はそう言うと空き教室向かい側の消火栓の裏に鍵を隠した。
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