僧侶の手記

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王は城ではなく、普通よりも少し大きな家で私たちを待っていた。 豪快に笑う王曰く、この国には王を住まわせる城など無いのだという。 そして王は言った。この国の一員にならないかと。 勇者などやめて、共に生きないかと。 我々は同じなのだと。 この日は返答を待ってもらい、宿へと戻った。 宿で一晩話し合い、返事を決める。 明日、また王の元へと向かおう。 朝早く、私たちは旅の支度を終え、王の元へと出向いた。 私たちの姿を見て王は理解したのか、少しだけ悲しい顔をした後、初めて出会った時と同じように豪快に笑う。 去り際、一言だけ投げかけてきた。 『お前達は負けるな』 人々の希望、羨望、嫉妬、悲しみ、そして自分の中の絶望に負けた悲しい英雄の言葉を背に、私たちは英雄の国を後にした。
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