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内海「あの…」
湯川「ん?」
内海「その…お出かけ先とやらが…なんで科学博物館なんですか!?」
湯川「…。何か不都合でも?」
内海「い、いえ…そういう訳では…」
湯川「ならいいじゃないか」
湯川がセレクトした場所、それは科学博物館だった。
内海はそんな湯川に呆れながらも不思議が広がる博物館内を歩いていた。
内海「湯川先生!これ…」
湯川「…?あぁ、これは…」
湯川・内海「「コンデンサ」」
内海「あ…」
湯川「…」
湯川は顔を赤らめた後、内海の頭をポンポンと叩いた。
湯川「…君ながら上出来だ。よくわかったな」
内海「君ながらって、ヒドイです。」
湯川「…しかし…これだけの機材が揃っているとこは珍しい。一式借りて、学生達に実験をやらせたいくらいだ」
内海「あ、先生。ここで何かやってください!」
湯川「なぜやる必要がある?」
内海「見たいんです!」
湯川「…何が?」
内海「危なくない、簡単にできる実験で…」
湯川「危ない」
内海「え?」
湯川の発言にびっくりした内海は、湯川をみつめた。
するとそこには、博物館の従業員らしき人が立っており、コンデンサの前で手を浮かせていた。
従業員「はい?」
湯川「あなたがやろうとしていることは、かなり危険ですよ。そもそもこのコンデンサは…」
従業員「ここの従業員ということはお分かりですよね?だから、大丈夫で」
湯川「それは違う。従業員だから大丈夫など、そんな根拠のない発言、どこから出てくるんです?」
すると従業員は嫌気がさしたのか、館長を呼んできた。
館長「すみませんがお客様、うちの従業員は日々気をつけておりますので」
湯川「…こちらにも非がありました。すみません。ただ一つだけ忠告しておきます。従業員だから大丈夫という間違った考えは止めた方がいいですよ。」
従業員「何様だよ」((ボソッ
湯川「…知りたいのならばこれをどうぞ」
湯川はニッコリ微笑むと名刺を差し出し、内海の腕を引っ張りながらどこかへと行った。
館長「…物理学の…先生…」
従業員「!?」
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