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「すごい?ちゃんと見つけられたで」
気付けばカズは私の元に無事帰還していた。
人混みから抜け出した戦利品は、少し濡れたビニール袋に入った缶チューハイ3本だった。
「お腹、空いてるのに」
「買えない、人多すぎ」
笑い合いながら、乾杯をする。
*****
カズの第一印象は、目がキラキラしてる、女の子のように可愛い男の子だった。
友達の後輩として紹介されたとき受けた衝撃は、今でも忘れられない。
11月、私が彼氏と別れたことを知ったカズからアドレスを聞かれた。
純粋に嬉しかった。
出かける計画を立てるだけでわくわくしたり、お互いの話をすることもすごく楽しくて、私たちの距離は急速に縮まった。
でも、カズと近付くたびに自分の傷が癒えてないことを知った。
*****
空を見上げながら、隣にいるカズに触れてる左腕が熱を感じる。
当たり前の温もりに寄りそう。
優しくて、可愛くて、ちょっと情けないところもあるけど、すごく好き。
長い待ち時間を乗り越え、花火開始のアナウンスが流れ出したとき、改めて夏を感じた。
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