徹夜

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「まあ…ちょいちょい話したりしてる。」 「ちょいちょいってなんだよ。どれくらいちょいちょいなんだ。」 智也に背を向けていた雄太だったが、振り返り、真面目な表情で話しかけていた。 「なんだよ、関係ないだろ。」 「あるよ。 トイレ貸したんだ。」 それは微妙やねん 雄太に関係が無いわけではないが。 「ちょいちょいってのは、まあ昼休みに話したりとか。」 「毎日か?」 「だいたい毎日…かな?」 「ちょいちょいじゃなくてしょっちゅうじゃねえかそれ。」 未だに床に座りこんでいる智也にいきなり詰め寄ってきた。 「鈴本は寡黙だから、一緒にいても全然話さないときとかあるし、それに二人っきりでいるわけじゃないよ。」 「知らんよそんなの。 なんでお前みたいなミトコンドリアが薔薇と一緒にいるんだよ。 クソ不愉快だわ。 こっちは必死にスタディに勤しんでいるというのに。」 「ろくにスタディしてないだろ。何度も言わせんなよ。」 「また粉砕(コンカッセ)するぞ。」 「すいません許してください。」 雄太はしょげる智也を見て満足した表情をし、部屋の中をうろうろし始めた。 「話を戻すが、一緒に遊びに行ったりしたことはあるのか?」 智也は顔をしかめた。 「別に…ないけど。」 「チキンめ。」 「うるせ。」 「じゃあメアドは?」 「……知らない」 智也はうつむき、小さな声で言った。 「知らないの!?」 雄太はうろうろするのをやめ、改めて智也を見つめた。
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