徹夜

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「なんだよ。 あんま仲良くないんだな。」 雄太はベッドに腰をおろし、ため息をついた。 「また家に来てくれるんじゃないかって期待してたのによ。」 「それはもうないよ多分。 鈴本は社交的じゃないんだ。」 「はあぁぁ?もう来ないのかよ。まあ確かにちょっとクールそうだったしな。」 「まあな。 俺だってアドレス欲しいんだけど中々くれないんだよ。」 「アドレスくれないだと? お前ホントにいつも昼休み一緒にいるのか? 頑張ってゲットしろよ。」 雄太は寝っ転がりはじめた。 「だから社交的じゃないんだって言ったじゃん。 俺だってせっかくできた友だちなのにアドレスが貰えないなんて嫌だよ。」 雄太はいきなり起き上がった。 「友だち?」 眉間にしわを寄せている。 「友だちだよ。 仲良くしていきたいよ。」 「好きじゃないのか?」 「え?」 好きだと? 俺が? 鈴本さつきのことを? 友だちが欲しくて必死に話しかけてきた鈴本のことを? それは… どうなんだ? 鈴本のことが好きなのか? 好きじゃないだろ。 冷たいし。 ちょっと恋愛感情とは違う。 でも仲良くしていきたいのは事実だ。 よくわからない。 「好きじゃない…と思う。 でも仲良くしたい。」 「生意気言うなアホ。」 雄太は枕を智也に投げつけた。
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