中間テスト

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テスト当日。 黒川智也は目の回りに隈(くま)とあざを作って登校した。 前日の兄弟ケンカは、序盤は五分五分の戦いを繰り広げるも、途中から雄太のほうが優勢になり、最終的には裏拳が智也の顔面にクリーンヒットし、決着はついた。 雄太は鼻を鳴らしながら部屋を出ていった。 残された智也はフラフラになりながらベッドの上に倒れ込んだ。 気がついたらそのまま寝てしまったという。 つまり、ほぼノー勉のままテストを迎えてしまったのである。 授業もろくに聞いていなかったため、知識ゼロの状態での挑戦ということになる。 智也はスーパーゴミテンションで教室に入った。 クラスのみんなは騒ぎながらテスト勉強に取り組んでいた。 暗唱を繰り返したり、ノートを見返したり、お互いに問題を出しあったりしている。 「藤田、助けてくれ。 全然勉強してないんだ。」 「ノノの場合は口だけじゃなくてホントに勉強してないんだろうな。 まあ頑張れよ。」 「なんだよその言い方ー。 お前は勉強したのかよ。」 「ちょっとね。」 「うっぜー!死ねよ。」 野々村は諦めて勉強してないらしい。気が合いそうだ。 だけど嫌われてそうで怖い。 しかし他の連中は必死だな。 最後の悪あがきか。 見苦しい。 バカは所詮バカのままさ。 智也は心の中で呟いた。 一番バカなのはこいつである。 智也は自分の席についた。 悪あがきはせずに顔にできた数個のあざを指で撫でたりつついたりしていた。 鈴本さつきは智也に目もくれず、勉強に励んでいた。 周りの連中とは違い、冷静さと余裕がうかがえる。 さすがは鈴本殿である。 「流石ですね鈴本さん。」 「うるさい静かにして。」 怒られた。 萎えたので机に突っ伏していたら、いつの間にか試験官の先生がテスト用紙を持って教室に来ていた。 みんなはやたら騒いでいた。 とうとう地獄の時間が始まる。
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