中間テスト

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「俺の場合、赤点は5個までなら可とする。」 野々村は大声で言った。 くすくすと笑いが起きる。 ちなみに5個もあったら追試三昧で即死だ。 「お前黙ってろよ。 バカ丸出しじゃねえか。」 藤田が笑いながらつっこむ。 「今回はホントに何もやってねえんだよ。 留年はマジ勘弁だわー。」 「ノノ、今回どっちが勝つか勝負しようぜ。 負けたら昼飯おごりな。」 ここで口をはさんできたのはサッカー部の永田だ。 イケメンではないが、髪型や服装に気を遣っている。 長めの茶髪で、ワックスを使ってセットしており、ピアスを3つほどつけている。 制服もシャツを出すなど、だらしなく着ている おちゃらけた性格で、適当に過ごしており、いい加減な奴である。 校内では悪ふざけばかりしているため、しょっちゅう教師に怒られている。 頭は悪い。かなり。 テストが近くなると、自分と似たような成績の人と点数を争う癖がある。 「悪いけど、ノー勉でも永田には負ける気しねえわ。」 永田を見下すような言い方である。 「あっそう。そういうこと言うんだ。 じゃあ言っちゃおうかなー。」 永田は腕組みをしながら勝ち誇った笑みを浮かべた。 「え、何?」 野々村は真顔になって聞き返す。 「お前昨日さ、雨の降るなか校庭ですず…」 「ちょっ!うぉぉぉぉぉああああああああ!!!」 野々村は目をボビーオロゴン並みに見開き、永田の声を打ち消すために叫んだ。 「野々村!テスト前だぞ。 黙ってなさい。」 教師に注意をされた野々村は、とぼけた表情で返事をした。 クラスで笑いが起きた。 「永田、お前、あとでちょっと来いよ。」 先程のとぼけた顔とはうってかわり、真剣な表情だった。 野々村は焦っていた。 「わかったわかった。」 永田は意地悪そうな目をしていた。
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