徹夜

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中間テスト前日。 現在、夜中1時。 黒川智也は自室の床で体育座りをしていた。 肩を落とし、足を縮め、小さく丸まってる姿からは生命エネルギーを感じられなかった。 口は半開きであり、目の焦点もぼやけている。 ただのアホにしか見えない。 勉強机にはライトが灯っており、さきほどまでは勉強した形跡がうかがえる。 いや、うかがえなかった。 机には問題集やノートが開いて置いてあるものの、それらを取り囲む形でおびただしい数の漫画が陣取っていた。 そして問題集より手前にワンピースの26巻が伏せて置いてあった。 ちなみに奥には1巻や2巻などが積み重ねっていた。 ちょっとした休憩のつもりだったんです。 勉強に疲れて、てか2、3秒しかやってないけど、疲れたんです。最近勉強してると息苦しくて。 なんとなく目線を上げたら国民的ゴム漫画…これじゃ下ネタですね。ゴム人間が主人公の漫画があったんで軽い気持ちで一巻を手に取ったんです。 そしたら涙と興奮が止まらなくて気がついたら数時間ぶっ通しでのめり込んでました。 まさかこんな中毒性と勉強に対する意欲を失う作用が含まれてるとは思ってもみませんでした。 深く反省してます。てへぺろ と、黒川容疑者は述べている。
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