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「ぐえっ。」
智也は兄、雄太のハイクオリティな攻撃を食らい、ベッドに倒れ込んだ。
「スタディに集中できねえだろうが!!」
雄太の口癖が炸裂した。
汚ならしい髭はいまだに剃っておらず、針ネズミのような髪も伸び放題である。
そして上下グレーのスウェットで現れたが、汗で所々湿っている
きったねぇ。
「いてぇな…
今から勉強しようと思ってたんだよ。」
智也は弱々しく体を起こし、ベッドの上にあぐらをかいた。
「はい出たー。
出ました。勉強してない奴特有のセリフ。
勉強してる奴はそんなうんこ臭い言い訳はしないんだよ。」
「兄貴だっていつも言ってるじゃねえか!」
「いっ………言ってねえよ!」
「言ってるよ。
兄貴の場合は誰も何も聞いてないのに勝手に言い出すからな。」
「どういうことだ。」
「リビングで会うと「これから勉強しようかな」。
テレビ見てる兄貴と会ったら「これ見たら勉強頑張るか」
漫画読んでる兄貴と会ったら「これ読んだら勉強するかな」
全部そっちから勝手に言い出してるけど。」
「違う、違うぞ!
それは息抜きだ。
浪人生は勉強という強大な存在に日夜脅かされているために、疲労が溜まるんだ。
いわば戦士の休息という…」「どこがだぁぁぁぁ!!!」
智也は雄太にジャンピングキックを捧げた。
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